TL小説ソムリエよむよむ感想日記

TL小説読みすぎな人生を綴るよ。オススメTL感想、レビュー、分析などなど。

王冠の護り手と名無しの衛兵

なろうで好きな作家さんの作品が気がついたら書籍化されていて、いやこの作家さんの魅力は一冊では語りきれねぇし!と思って紹介を書かせて頂きます。

王冠の護り人と名無しの衛兵 (フェアリーキス ピンク)

王冠の護り人と名無しの衛兵 (フェアリーキス ピンク)

作者のヴィルヘルミナさんが描くのは、ハイファンタジー少女小説と伝奇系中二病を足して割った世界観。 異世界転移した少女がもとの世界の知識と不思議な力を持ち、国を救ったり救わなかったりしつつ時にはコミカルに強く生きていきます。

こちらの作家さんの作品で私が魅力に感じているのは、同一世界観を異なる主人公で描くことで物語に想像が膨らむところ。細かな国の価値観や風習などの描写が若い頃に夢中になった十二国記を思い出します…(もはや紀元前に近い記憶)

書籍化された作品はもちろん面白いですが、複数の主人公を読むことで魅力の深まる作品だと思うので気になった方は読もうぜ!なろうでも!!

ヴィルヘルミナさんの作品でなろうで好きな奴

作品はクローズしちゃうこともあるかもなので、作者マイページにリンクを貼っておきます。

https://mypage.syosetu.com/758434/

https://xmypage.syosetu.com/x8159q/

ムーン:偽りの伯爵令嬢と意地悪な義兄

異世界転移した特に能力のないヒロイン。右も左もわからぬ世界で面倒を見てくれた義両親のため王太子妃を目指すが失敗。異世界転移者を隠していたことで責められ、塔に軟禁される。

ヒーローが中二MAXな設定で燃える。CLAMP感じて嫌いじゃないぜ。最後は「なぜそうしたし」と若干思うものの、こまけえことよ。

ムーン:お伽話に取り残された私の話

愛する幼馴染に超尽くしていたヒロインだが、彼はお姫様と結婚してしまう。ブロークンハートのまま暮らしていたが、息子の教育係を頼みたいと幼馴染に呼び出されて…。

序盤と後半で読み手の心構えが180度変わる作品。「ヒェッ」と感じて手に汗握る!! 炎の精霊が心の癒しだ!!

なろう:生き残りの巫女と魔物食いの王子

聖職者の儀式を受けていない魔物の肉を食べてしまうと、魔物の肉以外をいっさい受け付けない体になってしまう世界で魔物食いヒーローと異世界転移ヒロインがサバイバル!

序盤のヒーローかわいそう感がすごい。ヒロインもわりと発狂レベルの環境に置かれている。

雑記

ラノベを嗜むため「なんで異世界転生ってはやってるの?」とときたま人に聞かれますが、太古の昔から異世界にみんな憧れており、ネットによって気軽に俺の考えた最強の異世界転生を公開できるようになっただけだと思っています。

私も中学生の頃から異世界転移の漫画、書いてたよ!!(いまは書いていません)

入れ替わったらオレ様彼氏とエッチする運命でした

新年明けましておめでとうございます。今年も読んでまいります。

入れ替わったら、オレ様彼氏とエッチする運命でした! (蜜夢文庫)

入れ替わったら、オレ様彼氏とエッチする運命でした! (蜜夢文庫)

なんつータイトルだ、と思って読み始めたら、TLで初遭遇のガチTSF(性転換)作品。

神様の手違いで男の子の魂を持って生まれた女子と、女の子の魂を持って生まれた男子。あべこべな二人の魂が予定されていたもともとの体に入るには、ある条件が必要で…というお話。

イロモノでありながら、お話に不思議やドラマがあり、TFSらしいドキドキもあって面白かったです。しかも大判振る舞いの、kindle unlimited!

性転換ものはTL漫画でも増えていて可能性を感じるジャンルと思いますが、ヒーローとヒロインの性別入れ替わりは感情移入型の読み手だと混乱してつらいのかも…。

イラストもイマドキ感あって艶みもあり、とてもよき作品でした。おもしろい作品、まだまだ世界にたくさんありますね〜。

千年王国の箱入り娘

年始年末は細かいことを考えずに、ラブっていいですねーと思いながら脳をとろけさせて暮らしたい。

あらすじ

千年王国の箱入り王女 (ハニー文庫)

千年王国の箱入り王女 (ハニー文庫)

ヨーロッパ〜中央アジアを思わせる架空の国々を舞台とした物語。

周囲より進んだ治水・下水技術を持つが、傲慢な政治を行う国の姫であるヒロイン。箱入り娘として外の世界を知らずに暮らしていたが、ある日復讐のため攻め入ってきた蛮族に国は滅ぼされ捕虜として外の世界に連れ出される。

蛮族のリーダーであるヒーローは粗暴だが悪人ではなく、箱入り娘であるヒロインには想像もつかない市井の暮らしや多様性を見せて無知を悟らせる。

傲慢だが王女として成長しようとするガッツのあるヒロインに、ヒーローがベタ惚れしていく物語。

感想

ヒロインが高飛車で女子キャラの知性が低めに描かれるためたいぶ好みが分かれる作品であると思いますが、男性陣は魅力的に描かれています。

特にヒーローは他国からは粗暴に見えるが、他人への思いやりを持っていて人気者。しかも強いぜ!みたいな所が存分に描かれていてイケメンみが溢れています。くるくる天パ黒髪なのも、よき。

この作品はヒロインが外の世界を知って優しくなるだけだと面白くなかった気がしていて、後半にヒロイン主体で手に汗握る活躍を繰り広げて「こいつ…やりよる」と感じる漢気を見せるのがよかったです。ヒロイン△。

異国情緒と異文化への戸惑いが描かれる作品ってワクワクします。ヒロインが出会う食べ物の描写もおいしそう。

同一世界観で従者を主人公に据えたスピンオフ作品も読んだのですが、そちらでも「箱入り娘」のヒロイン・ヒーローの関係性の変化が描かれていてよきでした。

【番外編】xxxレクチャー

ピピッと妖怪アンテナが反応して、TL漫画をポチったら私の中の京極さんが「なんちゅうもん読ませてくれるんや…』とシャウトしたためご紹介します。

AV男優、コワモテ敵役俳優、芸術家…などちょっとクセのあるヒーローが登場するTL漫画。ヒロインもドアマット型ではなく個性が描かれて「このカップルは幸せになってほしいぜ!」と余韻を噛みしめることができる、よき短編集でした。

絵上手いし、主人公格以外の登場人物の書き分けとコマ割りがうまいし…。悪い顔の男子がわりと好きなので、コワモテ敵役俳優と仕立て屋カップルが好き!でした! 思わず読み返してニコォとしてしまう。

かつては女性向けの性的な描写がメインのコンテンツって、引退した作家さんがやる仕事みたいな感じでヤングが読むクオリティではないものが多かった気がしています。

今はマーケットとして当たり前になったためか、テキストもイラストも漫画も、この作品のようにふつーにうまい人が参戦するようになって恐ろしい。

今回紹介している『xxxレクチャー』で時代は変わったなぁと思ったのが、TLでありながらヒロインに個性がきちんと描かれていて、第三者視点で楽しむ作品であることです。

TLって尖った女性は描かれず「あるある」を感じやすい自己投影前提の作品が多くくてBLは第三者視点でカップルを愛でる作品が多かったと感じているのですが、それに近いかなと。これはすごくおもしろい進化ではないだろうか。

…と第三者視点説を書いたものの、単にこれまで読んだTL作品がそういう風に感じやすかっただけなのかなぁ。主人公の性格や職業、セリフ傾向で統計取ってみないとわからんですな。

この調子で、女性向けエロゲも復興してくれないかな〜。アプリでは難しいと思うのですが、ブラウザベースのプラットホーム作れたらいけると思うんだけどなぁ。

君だけしか見えない

疲れにより、やさしい話が読みたい!という思いがMAXに達しました。

感想

君だけしか見えない (オパール文庫)

君だけしか見えない (オパール文庫)

舞台は現代日本。事故によって視覚障害になったヒーロー。手術すれば治療できる可能性はあるが、踏み切れずに北海道富良野でひとり孤独にささくれモードで療養している。

ヒロインは幼い頃に両親が離婚し、それぞれが新たな家庭を持ったため祖母に育てられた。その祖母も亡くなりひとり富良野で暮らすヒロインとヒーローが出会い…。

祖母エピソードの切なさと、冒頭の喫茶店の老夫婦と、義理兄がいい人で冒頭ヒーロー未登場の段階にも関わらず素で泣きました。人のやさしさって…いい…。

ままならない体にイライラして攻撃的になるヒーローに対して介護経験からフォローするヒロインのやさしみと、ヒロイン自身も家族を亡くし孤独で辛く、人にすがりたいと内心思っているくだりが沁みる。えらい子かよ〜。

上京後はすれ違いと勘違いのジレジレ繰り返しですが、序盤のじんわりしたラブシーンでどんぶり2杯はいけます。

ヒロインの献身理由が丁寧に描かれるため、恋愛に至る過程に納得感つよい。序盤クイックにエロいタイプの作品ではないので、じっくり物語を楽しみたい方向けの作品ではないでしょうか。

麻生ミカリ先生の作品は、これはたしかに惚れるよな〜的な外見以外の魅力がヒーローヒロインともに感じられる描き方をされるなぁと思います。良い意味で少女マンガみがあります。

雑記

男性向けラノベを読んでいて、ハーレムものってあまり好みでないな〜と感じて、そう感じる理由を考えてみました。

ハーレムものは登場人物が多くなるのが、主人公を中心に描いてほかの多数は小さなエピソードだけで想像を膨らませてもらうスタイルかなと思っています。

登場人物が多いと個々の葛藤や心の揺れ動きがあまり描かれなくなるために、ハーレムだと満足できないなーと思うのかもしれず…。女性ぽい読み方なのかもですなー。

女性向けのハーレムな作品ってなにがあるかなー。ふしぎ遊戯フルーツバスケット桜蘭高校ホスト部とかか…?

或る毒師の求婚

おもしろセンサーが発動したので、書籍版を購入しました。

あらすじ

或る毒師の求婚 (ソーニャ文庫)

或る毒師の求婚 (ソーニャ文庫)

王族は黒い衣装を身に纏う慣習のある国が舞台。王国では、王の直系を重視するため銀の髪をもった王族は神聖視されていた。

美しい銀色に輝く髪を持ったヒロインは家族に愛されて育つ。16歳で隣国に嫁ぐ約束だったが、誕生日直前に病に倒れ昏睡してしまう。

ギリ生きていたヒロインであったが、目が覚めても身体を動かすこともままならず結婚は延期。

昏睡から目覚めたヒロインの前にいたのは、ミステリアスな黒髪19歳ヒーロー。自分は医師であると名乗り、ヒロインに門外不出の治療を行うが…。

感想:ネタバレなし

毒師ってタイトルなくらいですので、人は景気よく死にます。全体的にインモラルな雰囲気ですが、ヒロインが極端に酷い目にあうことはありません。

女性の気持ちの機微を楽しむ、というよりはスーパーヒーローの暗躍を楽しむ物語になっています。

ソーニャ文庫のテーマは執着だと思っていますが、この作品に関しては執着ではなくナチュラルな狂気だな〜と思えた作品でした。

イラストは美麗で、ヒーローの表情の温度の低さがキャラクター性を表していて強い。

感想:ネタバレあり

ミステリアスな空気感の作品で初読ではまっさらに読んだ方が楽しいと思い、ここまではネタバレを伏せて書きました。ここからは、読んだ前提の話を書いていきます。

ネタバレまで間を置くために、ふたたび書影置いておきます。

或る毒師の求婚 (ソーニャ文庫)

或る毒師の求婚 (ソーニャ文庫)

いやー。ゴシックな世界観のサイコパス最強決定戦でしたね。

ヒロインの主観でみると、体調不良以外はそこまで絶望的な事件は終盤まで起こらないのがまた面白かったです。

女性向け作品においてドラマ性の高い初体験シーンを、この作品ではヒロインが100%意識をなくした状態で描いたのが鬼畜度がよく出てるなと思いました。

普通だったら、意識を無くしたヒロインをレイプするシーンではヒロインの意識が戻って取り乱す展開にするじゃないですか。そうはしないのが、このヒーローの感情の薄さを印象付けているなと。

ヒーローは純然たる悪ではあるものの、ヒロイン以外のメリットデメリットには一切関心がない。彼女がいなければ全員殺そうかな〜くらいの気持ちの人ですね。

TLでこんな悪に男子を描くのってすごいなーと感心しました。サイコパス設定のヒーローってそこそこいると思いますが、ガチ感がある。

やべえな感が強すぎて、ヒロインちゃんが幸せに暮らして、ヒーローが大量殺戮に至らないようにしてくれればオッケー!と謎の前向きな気持ちになれました。

物語の強さと大人向けという条件を生かしたクレイジーさ、とても良い作品でした〜。

氷獄公は聖女を奪う

外出するとなぜか右目から涙が出続ける今日この頃ですが、とりあえず本は読みたい。

感想

氷獄公は聖女を奪う (ハニー文庫)

氷獄公は聖女を奪う (ハニー文庫)

西ヨーロッパぽい文化と宗教を持ったヒロインが、スカンディナヴィア半島を思わせる氷の大地へ流刑になるが、政治的思惑?から領主であるヒーローに求婚されて、なかば強引に婚姻関係を結ぶことに。

タレ目男子のヒーローがふつうにいい人で、信仰心のあついヒロインには野蛮とも感じられる厳しい北国の価値観ですれ違いつつもじわじわとラブを深めて行くおはなし。

めちゃくちゃ劇的なできごとがあるタイプのお話ではないし、ヒロインの辛い子ども時代がヒーローとの結婚で昇華される王道の流れですが北の大地の独特な生活とヒーローの家族描写がほほえましく、物語の余白を感じさせるよき作品でした。

雑記

雪国を舞台にした映画で『ホルテンさんのはじめての冒険』と『ハロルドが笑うその日まで』が印象に残っています。

寒い国と暑い国では人生観や芸術がまったく異なるのでおもしろい。

私は幼少時熱帯モンスーン気候の国で育ったのですが、気候的に食べ物に困りづらいためか享楽的な雰囲気が強かった印象があります。

気候的条件によって文化と食料事情、それに伴って人の気質が異なるのかもという話を考えるとおもしろいですね。

TLはあまり厚くならない文量が求められているので、キャラクターを魅せつつバックグラウンドを描き切るのはなかなか困難かと思いますがときたま文化を面白くみせる作品を読むと、嬉しくなります。