TL小説ソムリエよむよむ感想日記

TL小説読みすぎな人生を綴るよ。オススメTL感想、レビュー、分析などなど。

僕のかわいいセレーナ

僕の可愛いセレーナ (ソーニャ文庫)

僕の可愛いセレーナ (ソーニャ文庫)

だいぶ以前に読んだ作品なのですが、宇奈月先生がオパール文庫で帰還限定で読める系連載を始められたので記念パピコ

ソーニャ文庫創刊から間も無い2013年発刊で、面白いのですが複数の事件が起きる系の物語であらすじが書きづらいので今日は省略します。

以前から感じていましたが、宇奈月先生はヒロインが受ける身体的・精神的ダメージの描写に容赦がない。これは…辛いぞ! という状況をきっちり描写するので、不幸度合いがはっきり伝わって読んでいて辛くなります。だが、読んでいて痛みを感じたぶん主人公が辛い状況を打破した際のカタルシスも大きい…。

主人公に感情移入度が高い方ではない私でもアワワ…!となるので、感情移入が強い読み手は避けるタイプの物語かもなと思います。(万人に愛される作品を作ることは不可能に近いので、disっているわけではないです)

『僕のかわいいセレーナ』ではヒーローもその他の人間も、一癖ある人物として描かれます。ですが、完全な善でも完全な悪でもない…と見せるのは、フラットな人間の描き方だなぁと感じます。特に同性のライバル的な存在が登場しても、理由ある悪として描写されるので納得感がある。

完全な悪として描かれる方が物語的に悪役を断罪しやすくスカッと感があるので、ここらへんは好みが分かれる部分かもですね。

ヒーロー・ヒロイン以外の人物をそこまで描く暇がないTLでも、人物描写って作家さんによってぜんぜん違うので、面白いなーと思う部分です。

オパール文庫の『いとしい君に愛を乞う』

『僕のかわいいセレーナ』宇奈月先生の新作が期間限定公開の連載形式で〜読めるー。

離婚寸前夫婦の物語なのかな? ヒーローが第1話の最後に登場したばかりなので謎が多いですが、犬の描写が細かいので犬好き垂涎。

ヒロインが脚を悪くしている設定なんですが、私自身が最近膝の手術して絶賛リハビリ中なために第1話にして感情移入度MAXです。歳をとってさまざまな経験を積むうちに、新しい視野をもって登場人物の心境に思いを馳せるものですな…。

女性向けオタクマーケット話

今日は「BLはTLより作品数が多い気がするが、それってマジ?」という話をいまさらインターネッツ初心者が検索数をみて傾向を推測しているだけですが…。

今日はBL,TL(NL)という単語をばんばん使っていきます。

販売されている作品数で比較

太古より女性向け二次創作界においてはBL好きってすごく多くて、商業作品でもエロスありの女性向けTL(あるいはNL)って少数派な気がしておりました。

マーケットのイメージとしては、肌感では上記のような感じです。

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ただ、それって本当か? と検索して表にしました。ジャンル検索ワードがレーベルによって表記がまちまちなので超正確な値ではありませんが、分布の参考として…。

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手に取れる本を含むとBLが圧倒的に作品数多いのですが、電子書籍においてはトントンくらいの数になります。

推測するにBLのほうが歴史があるため作品数がトータルで多いが、電子書籍は勢いで購入しやすいのでライトユーザーが手に取りやすくTLの作品数も多いのではないかな〜と。

と、仮説を立てていたら作品投稿webサービスの中の人が、電子書籍界のマーケットについて説明しているのを見つけてなるほど感です。

mecuru.jp

pixivのジャンル数

ちなみにpixiv界においては下記のような検索結果でした。

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百合検索数が男性向けも含むので微妙なところですが、百合好き女子はだいたい男性向けもイケるという謎法則があるのでよしとしました。

なぜBLが強いのか問題

男性キャラと女性キャラどちらを好きになるか、その上で、両方が好きな性別だったら倍お得やん?的な気持ちがあるような気がしていましたが、近年では女性キャラの設定が薄すぎて好きにならないのではないか説もある気もしてきました。

なぜBL強いのかという謎について考えていると、毎回ゲシュタルト崩壊を起こしてきます。ジャンルの作品数が多いと、ツボにヒットするものを目にする確率が高いからというのもありそう…。

作品形態とレーベルの選び方

最近、TL小説の読み手はどういう人が多いのかなーとよく考えております。

私のように継続的に作品を買うユーザーは少数派で、大半が衝動的に電子書籍で買って、その後は買わないのかもしれない…?とか。

権力や金銭を持った男性が不遇な女性を救うシンデレラストーリーが多いのは、わかりやすくて読みやすいのもさることながら、読み手がガチオタよりも一般的な女性が意外と多いために一般的なハッピーエンドストーリーがウケるのかもと考えたりしています。

ガチオタは火のないところを大火事にできる妄想力を持っているので、オリジナルのエロスあり作品はあまり読まないのかもです…。

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ざっくりこういう要素でユーザーは作品を選ぶと思うのですが、レーベルごと、作者ごとにどの分野が得意か自分の中でカテゴライズできないかな〜と最近考えています。作者の得意分野はカテゴライズできるけど、レーベルが思いのほか割り振れないので苦悩してます。

ちなみに夢小説とTLはかぶるようでかぶらない…。ジャンル is ムズカシイ。

雑記

今更3DSのFE ifキャラにハマっております。主人公女子かわっいいいいいし、きょうだいや下僕もかわっいいいいいい。

インターネッツ初心者なので主人公のデフォルトネーム「カムイ」でpixiv検索したら「ゴールデンカムイ」の肌色絵が出てきて笑いました。むちむちの女子が出てくるかなと思ったらねーガチムチ男子がねー。正しい検索ワードは「カムイ♂・カムイ♀」!

今週末はEP.8も公開なのでオタク的に萌え忙しくなりそうです。かわいそ男子好きなので、メンタル弱さ半端ねぇ感じのカイロレン氏を見守っていきたいです。

令嬢は淫らな夢に囚われる

二日続けて山野辺りり先生の作品の感想になってしまいますが黒髪敬語男子好きかつ、なかなかに倒錯した設定に期待して発売日読みさせて頂きました。

あらすじ

令嬢は淫らな夢に囚われる (ハニー文庫)

令嬢は淫らな夢に囚われる (ハニー文庫)

ヒロインは裕福な商家の一人娘だが、控えめシャイガール(17)。幼い頃から頼りにしている召使の敬語黒髪ヒーロー(24)のことを慕っている。

身分の差による秘めた想いからか、毎夜ヒロインは淫夢を以下略。

感想

じれじれ&濃密エロス好き、敬語男子好きにオススメな作品。

グッドエロティクス。グッドエンド。グッドファーザーでした。丁寧なじれじれ心理描写とともに、特殊な状況下のプレイが繰り広げられて良いお話。

途中からヒロイン父に想いを馳せて面白い感じになってしまった…。加齢のためか、近年すぐ心の応援上映が開始されてしまうのです。

モラルにヤバみはあるものの、しょっぱながアレでアレなのでまぁいっか!みたいな感じで個人の趣味として大変良いエロスでした。少女時代のヒロイン挿絵はよ!と思いましたが、女性向け商業作品ではさすがにアレなので控えたのかもしれず。

ヒーロー毎日楽しかっただろうな…。最近読んだ作品の中でも、HENTAI度がわりと高いキャラだなと思いました。

お話そのものとはさほど関係がないのですが、TL小説でヒーローが脱いだ時に鍛え抜かれた体躯に関する描写がなされるののの、どういう生活してるんだよといつも思っていたので『令嬢は淫らな夢に囚われる』でヒーローが逞しい理由がさらりと説明されたのが面白かったです。

TL小説でヒーローの筋肉に関する描写を読むと、知人が乙女ゲームでメガネキャラがムキムキなのを見て、お前は秀才キャラなのか運動系なのかハッキリしろと憤っていたのを思い出す…。かといって筋肉がないと女性ウケが悪いのか謎です。

挿絵は『主従愛鎖』と同じ鳩屋ユカリ先生。キャラクターの表情を状況に合わせて細かく描かれるかんじが好き。

雑記

今まで読んだTL小説ヒーローの、HENTAI最強決定戦を書きたくなってきた。

愛を乞う異形

正月のためのおせちについて考えるあまり意識を失っていましたが、山野辺りり先生の新刊を読み、感想を書き留めるために地獄の底から舞い戻ってきました。

感想を書くペースが遅くて、このままではソーニャ文庫ファンサイトになってしまう。くやビク。

あらすじ

愛を乞う異形 (ソーニャ文庫)

愛を乞う異形 (ソーニャ文庫)

幼い頃に事故に遭ってから、周囲の人間が化け物に見えるようになってしまったヒロイン。

あらゆる人間が正しく認識できないことを恐れ、極力他者と顔を合わせない暮らしを送っていたヒロイン。折り合いの悪い父親に政略結婚を強いられ、恐ろしい悪魔の姿に見えるヒーローのもとに嫁ぐが…。

感想

挿絵はどのくらい獣なのか問題

「世界を正しく認識することができない」設定だと、挿絵が『沙耶の唄』的に混沌とした状態であることを一部の読者は期待されると思うのですが、挿絵は基本イケメンと美少女です。

沙耶の唄』設定はクレイジーな価値観の中に愛を見出す剛の者向けの作品であり、選ばれしものしか購入しない可能性を考えると正気を保ったジャッジで人間を描いたと思います。

もしもソーニャ文庫がDMMとかで挿絵ノベル的な感じで配信された際には、タップすると切り替わる感じのカオスな挿絵がつくといいですね…! その時はヒーローが海産物系に見える設定でも可能性を感じます。

お話について

ヒロインを通して見る世界と混乱で読者も不安になれる系の話でした。がんばれー!と、一人で読みながら応援上映的な…。

山野辺りり先生の描く物語は、精神的な強い混乱の中で足掻く人物たちの心の揺れ動きや成長がおもしろいなと感じます。

邪悪なトリックが秘められたお話ではないですが、美醜を超えて愛を見出す話をうまくまとめる巧さはさすがな感じ。もうちょっと細かなお話をボリューム多めで読んでみたくなります。

ただ、終わらない物語は好きではないので、もうちょっと読んでみたかったなと思う物語こそがいい物語だと個人的には思います。その後、ヒロインが己の視野を生かした前衛芸術で大成する、という物語の先の未来を勝手に想像しております。

雑記

自分の話で恐縮ですが、他人の顔がさほど識別できない性質なので『愛を乞う異形』のヒロインにはシンパシーを感じました。興味がないために識別できないのか、識別できないために興味を持てないのか謎ですが、世のイケメンや美女と呼ばれる人々の認識はまったくつかないのです。

ちょっと前にしばらく入院した際も、看護師の顔がまったく覚えられず、親しげに声をかけられるも個人を識別できていないので「知ってる知ってる〜!」みたいな顔で挨拶するの苦労しました。

看護師の動きや喋り方には関心があるのでしばらく見ていると、この立ち回り方と励まし方はあの人かなーみたいな認識で覚えていきますが。看護師さんによって、患者への配慮するポイントに差があってそういう部分で他人を識別していきます。

世界の見え方は、事故に遭わずとも人によってまったく異なるものですな。興味深いことです。

姫君のたった一人の騎士

Amazonでチラリ見かけた見知らぬパブリッシャー、見知らぬ作家さんの作品なのですが、騎士と姫君のテーマはけっこう好きなのでタイトル買いしてみました。

電子出版のみの作品で、短編です。

姫君のたった一人の騎士 (AINE)

姫君のたった一人の騎士 (AINE)

あらすじ

2つの大国の海峡にうかぶ島国。その国では愛する騎士と共にあることで、強く心を持った女王の言い伝えから、王女が伴侶となる運命の騎士を選ぶ伝統があった。

20歳を迎え王位継承権を得た王女(金髪ロング)は、隣国からやってきた影のある騎士(黒髪男子)に心奪われ…。

感想

安定して読める、魅力ある世界観の作品でした。

架空の国を舞台にした物語ながらも、きっと花の溢れた美しい国なのだろうな〜と情景を思い浮かべられるステキな世界観。

エロス描写がスゴいとかキャラクターが突飛な設定なわけではないのですが、主人公が若いながらも王となることを意識した立ち振る舞いを持ちつつ、愛にまっすぐな姿勢がイッツキュート。静かながらもロマンのある話で、物語として好き!

雑談

失礼ながらオンライン出版の作品はスピード勝負なため校正が甘かったり物語のツメが甘いなども時にあるため、警戒心を持ちがちでした。

『姫君のたった一人の騎士』は短編で地味…とも言えるのですが、よい作品!と感じる底力があったので反省。自分が知らないだけで、いい作家さんまだたくさんいますわ。

ついつい安パイを求めてamazonでレビューが高い作品だけを購入して読みそうになってしまいますが、悪いレビューがついていても自分と好みが合わないだけという可能性も高いので、もっと挑戦していろいろ読んだり見たりせねばなあとしみじみいたしました。

人気がない作品でも自分が好きならいいし、人気があるから自分が面白く感じるとは限らないんですよな。

人外和洋

作品の質がピンキリで、好きな作品を見つけるために精神力と時間を要するインターネット小説投稿サイト。個人で書いて発表しているならではの、商業では売れないと判断されそうな攻めた設定の作品を見つけると嬉しくなります。

ムーンライトノベルで人外カップル作品をたくさん書いている作家さんが、ムーンで公開したものに加筆修正を加えてKindle出版されていたので購入。

概要

人外と人のカップルをテーマにしたファンタジーなTL短編集。舞台となる国や種族、キャラクター属性はさまざま! ムーンライトノベルで作者さんの作品を読んで、作風がマッチしたなら買い。

短編集なのと人外をテーマにしているだけあって、おとぎ話のような不思議な結末を迎える作品もあり。ほんわかした話もありますが、甘々グッドエンドのみを求める方には不向きかなと思います。含みのある結末も楽しめる方向け。

ふだんインターネット小説投稿サイトを読まない人であれば、商業TLとは一味違った世界観を垣間見ることができますぞ。

NTRデュラハンなどマニアックな世界を堪能できます。私は残念イケメンお稲荷さんの話が!すき!

感想

こちらのKindle本はおそらく個人出版だと思うのですが、一人でものを作るときに商品レベルまで仕上げるのは客観性を持つ必要がありますが、ひとりで自分が作ったものの抜けを見つけるのはとても難しいことだと自分は感じているので、こんなに高いクオリティに一人で仕上げちゃうなんてすごすぎでしょ、と嬉しくなってしまいました。

作品ごとのテーマ性のブレなさ、多様な舞台背景への作者の方の知識の豊富さが感じられます。こんなうまいテキストが野良で読めるなんて、インターネットってこわい。

インターネット初心者なのでわからないのですが、その道ではめっちゃ有名な方なんだろうか…。すごいなー。

主人公への自己投影と囚われる物語

小説投稿サイトのムーンライトノベルで『時の魔女と少年王』という長編作品(R18)が完結し、淫乱でショタではあるが純情というレアタイプのヒロインで、お話として綺麗に完結したことが嬉しくて静かにスタンディングオベーションをしております。よかった。

そういえばここ最近自分に自信がないヒロインの作品を読み続けていたため、特殊ヒロインに飢えていました。

男性向けエロゲでトラウマ持ち主人公ばっかりだと疲れるので、鬼畜戦士ランスみたいな主人公の作品も見たくなって来る心理と申しますか…。

主人公のスタンスを意識して作品を探すと、主人公というキャラクターはどうあるべきか論に踏み込んで迷子になりがちです。

主人公と自己投影

鏡の写真をぱくたそで検索したら、鏡餅しかなかった。

TLというかロマンスを見る際に主人公への感情移入という要素がありますが、主人公は読み手が理想とするような人物がいいのか? 読み手が持つ苦しみを背負った人物がいいのか?あるいは読み手にまったく予想もつかない思考を持つ人物がいいのか? と長年思い悩んでおります。

BLは女性性が不在なために登場人物に自分を投影することなく楽に読める、という説を聞いたことはあるのですが、同性の登場人物に対して読み手は自分を投影せずにおられないものなのか?

村上春樹の作品を読む人は、みんなやれやれ気分で読むのか? 『悪の教典』を読んだ人はサイコパスに自分を投影するのか?とか考えていくと深みにはまる。

商業TL(あるいはハーレクイン)で自分に自信がない女性が多いのは、他人に認められ救われるスカッと感を描写する目的と、自分に自信がある女性は読み手にとってムカつくから売れないのかもなーと長年考え続けております。

私はわりと雑食ですが、登場人物の行動原理が読めないと困惑して読むのがつらくなる時はある…。めっちゃ鈍感で万人に優しい流されヒロインをみると、いったい何を目的に生きているのか…?と気になるし…。

人によって囚われる物語は違う

私は子供の頃にFF4というゲームのシナリオに衝撃を受けて、それ以来ずっと人を好きになることで生まれる激情と後ろめたさに惹かれる病にかかっております。カイン大好き!

読み手が愛する状況や感情がさまざまありますが、書き手にももちろんある。いろんなシナリオライターや作家さんのテキストを読んでいると、書き手の執着する状況や感情が見えた時に「イイね!」とテンション上がります。

人の数だけ千差万別の世界の見え方があって、物語を読むことで他者の視点や感情を体験できるのってやっぱ面白いし、さまざまな物語を体験していきたいものです。エロい物語はとくに、自分で実際に挑戦すると痛い目に合ったり法に触れるしな!