TL小説ソムリエよむよむ感想日記

TL小説読みすぎな人生を綴るよ。オススメTL感想、レビュー、分析などなど。

裏切りの騎士は愛を乞う

裏切りの騎士は愛を乞う (ソーニャ文庫)

裏切りの騎士は愛を乞う (ソーニャ文庫)

サキュバスは愛欲にたゆたう (ソーニャ文庫)』の春日井こみと先生のソーニャ文庫6月新刊。
薄幸の黒髪王女×ミステリアスだけど情熱を秘めた金髪騎士。

王女でありながら差別され、隔離されて育てられたヒロインが護衛の騎士を愛して、自分のそばに置いても彼のためにならないので自由にしてあげたいと思いながら執着してしまう…という話。

あらすじを書くとシンプルなのですが「だから、この違和感があったのか」と納得する小さな驚きもありで、きちんと読める良い物語でした。

春日井こみと先生は「なぜ執着するのか」の心理描写がうまいなぁと感じていて、ただヤンデレとかではなく、執着する側に絶望や悲しさなどの空虚があります。空虚を埋める存在として執着対象があるという流れが「そりゃ大好きになっちゃうよなー」と頷きながら読めるのが好きです。それぞれの行動理由に共感、納得ができる。

挿絵はヒロインが中世イタリアっぽいドレスを着ていて、禁欲的な感じが超いいね!!!と思いました。キャラクター描写とマッチしている。

狂恋〜奴隷王子と生贄の巫女〜

狂恋 ~奴隷王子と生贄の巫女~ (ハニー文庫)

狂恋 ~奴隷王子と生贄の巫女~ (ハニー文庫)

サブタイトルままの属性を持ったカップルがメインの、ファンタジー世界で触手プレイが出てくる話です。

王と実妹の禁忌の関係で生まれ、認知されない子は徹底的に差別される価値観によって虐げられて生きる不憫ヒーローの王子。どんな人にも優しくありたいと頑張る巫女ヒロインのラブ。スパイスとして触手攻めもあるでよ!

商業TLで触手ってはじめて読んだので、攻めるな〜!と関心しました。触手もののTLがたくさん出ていない所を見ると、おそらく売れにくいテーマなのではないでしょうか。男性向けでも触手はそこまでメジャーなモチーフではないですしね…。

触手テーマというだけで敬遠する方もいらっしゃると思いますが、お話としてはドラマティックで面白かったです。王子と巫女のすれ違いと和解が「差別」「宗教と儀式」「血に狂う体質」などの設定を活かしつつ自然に書かれています。

伝記系の残酷表現(具体的に言うとFate/stay night[Heaven’s Feel]みたいな話)に耐性があるならば、読み応えある話ではないでしょうか。

惜しかったポイントは、触手攻めの挿絵がいまいちだったことかな…。女性で触手めっちゃ描き慣れてる人いないわな…。

余談 BLとTLの書き手

この作品を書かれた作者さんはもとはBLをメインに書かれているようで、TLとBLどっちも書かれる作家さんって多いのですが、BL系作家さんはタブー表現や性描写に尖った部分がTLにおいても特徴的になるなと感じています。読んでいて「BLも書く人かな」って作家さんの知識がなくてもテキストから感じること多い。

BLのほうが激しい性描写が多い傾向にあるので、書き慣れなのでしょうか?謎です。

余談 TLとタイトルの話

しかしこの作品は「狂恋」という作品名は、そこまで内容を表していない気がしてもったいないなーと思いました。TL(というかラノベ全体)はタイトルによって属性を理解させて買ってもらうことが多いためか、そのタイトルは内容と違わない?みたいな知性低い作品名を結構見かけて残念。

電子書籍で買う際に「黒髪男子がサド設定がいいなー」とか思っても、amazonでそういった属性を検索するすべがないためにタイトルに詰め込むしかないんでしょうね…。

TLレーベル横断の属性DBを作りたいなー。

ためらいの代償

前回書いた時から三ヶ月空いてしまっていました。

今回感想を書く作品は執着テーマのソーニャ文庫から『ためらいの代償』。表紙を見てわかるようにダブルヒーローかつ3Pがあります。

3Pってファンタジー作品ながらも「そのプレイは女性の姿勢がつらくないのか? ちゃんと集中して気持ち良くなれてるのか?」といらん事が気になってきてしまうので、小説で複数ものはきちんと読んだ事がありませんでした。

初恋の爪痕 (ソーニャ文庫)

初恋の爪痕 (ソーニャ文庫)

 
最愛の花 (ソーニャ文庫)

最愛の花 (ソーニャ文庫)

 

ですが、『初恋の爪痕』『最愛の花』といったTLにありながら、エロだけではなく切ない心のゆらぎを描く筆力に定評がある、藤波ちなこ先生の作品をコンプリートしたくなり『ためらいの代償』を手に取りました。

ためらいの代償 (ソーニャ文庫)

ためらいの代償 (ソーニャ文庫)

 

オッドアイを持った孤児の主人公が20以上年の離れた男性に嫁ぎ、義理の息子と恋に落ちてさぁどっち!! …という話です。

親子か〜大丈夫かな…地雷かな…と思いましたが、自分を身請けした大恩ある夫か、心惹かれてしまう情熱的な義理の息子か、というところで信仰心ある主人公が自分の罪深さに絶望する心理描写が背徳感あってよかったです。

キャラクターとしては主人公は不憫幸薄い系。ヒーロー1は落ち着いているが支配的、調教、執着。ヒーロー2は情熱的、寡黙、ストレートな愛。みたいな感じで、ヒーローそれぞれに別の魅力があっておいしいかんじ。

主人公のオッドアイ設定が心理描写とひっかけて描かれるのも、切ない心理描写がうまい作者さんならではだなーとしみじみしたり。テキストのエロ度合いとしては作者のほか作品よりも重めですが、この関係性を描くためにはこのギャップは必要だなと。

というわけで、複数ものに抵抗があってもぐいぐい読ませられる作品で、さすが藤波ちなこ先生! でした。

藤波ちなこ先生の新作『風車の恋歌』が7月に発売予定とのことですので、チェキ!

www.sonyabunko.com

ソーニャ文庫に限らず、書籍が電子書籍版の発売日が遅いのはどうにかならないのかなー。恥じらいゼロの私でも、TLノベルを家族に見られた際にヒェー!ってなるので、なるべく電子で書いたいんよ…。

野獣は黄昏の森で愛に出会う

『王女様と教育係』の作家さんの別作品。中世イギリス的(一般でイメージされるよりも数世紀昔くらい)な世界観を舞台に、王女ではあるものの、双子の兄とは違い母親に愛されず虐げられて育てられた卑屈なヒロインが色々あって互いの身分を知らないまま敵の王に会い、恋に落ちるが…というストーリー。

美女と野獣ロミオとジュリエットオペラ座の怪人のような古典王道モチーフを料理したTLですが、骨太で読ませる感じでした。心に傷を負った二人がすれ違ったり慰めあったりするが、どうなっちゃうの!とぐいぐい読ませる読ませる。

『王女様と教育係』のほうがライトな雰囲気で、こちらはより重厚さ?ドラマティックさ?が強いなと思いました。『王女様と教育係』も、TLの中ではだいぶ物語をしっかり描いている作品だと思いますが…。

レビューでは話の唐突感が気になる方がいるようでしたが、この作家さんの作品はシェイクスピア等の戯曲のような世界観や文体に近いものではないかなと思うので、独特の言い回しや登場人物の多さや急展開は好みがわかれる所ではないかなと思いました。

物語の構成やドラマティックさの描き方はこだわりがある作家さんだと思うで、クラシックな文体のテキストを読むのが苦でない方なら設定やエロ描写特化で登場人物の行動原理がさっぱりわからん…みたいなTLよりも楽しめるのではないかなと思います!

ちなみにヒロインは一時的に男装をします。

ヒロインが素直でキュンとする度 ★★★★★
女性登場人物みんな強い度 ★★★★★

肉食系女子はニセモノ草食獣においしく食べられる

肉食系女子はニセモノ草食獣においしく食べられる (ヴァニラ文庫)

肉食系女子はニセモノ草食獣においしく食べられる (ヴァニラ文庫)

現代が舞台の敬語真面目メガネ男子と、ツンツン内弁慶女子のラブ。

母親が男に捨てられるのを見続ける悲しい子供時代を送ったヒロインが、自分はそうはなるまいと理想の御曹司をゲットすべくビッチ感に溢れる生き方をしています。でも実のところシャイなために処女。いい感じと思っていた男子に軽く扱われそうになり傷心なところに…という話。

エロの描写は長く濃厚なため好みは分かれるかと思いますが、敬語まじめキャラのヒーローが愉快なのと、ヒロインが不幸な生い立ちゆえに素直になれずツンツンしてしまう描写がわかりみあって面白かったです。愛を求めつつも愛に臆病になるの、あるよね…。

不憫だからはよこの娘を幸せにしてやってくれ!とヒーローを応援したくなる作品でした。

ヒロインいもっぽくてかわいい度 ★★★★☆

十年愛

十年愛 (ソーニャ文庫)

十年愛 (ソーニャ文庫)

執着ラブをテーマにした作品を扱うソーニャ文庫の作品。中世ヨーロッパ風の舞台で地方領主の娘のヒロイン。15歳の時に愛を誓い合ったヒーローと10年越しで再会。ヒーローはなぜだか王位を得て超出世しているのですが、ヒロインは覚えのない裏切り者扱いされてしまい、お城に軟禁されていじめラブされる話。

ベタといえばベタな話なのですが、なんというか完成された人妻萌えのような要素を感じました。途中であえて娼婦っぽい態度をとって挑発的な言動をするところとか、女性の強さを描いていて胸がスッとする。

ヒロインの年齢は25歳とソーニャ文庫にしては大人めですが、この設定ならば必然性が感じられる。大人の女性設定も悪くないわね!と感じられました。

青春時代のラブに一途すぎ度 ★★★★★

ハーフ・クラウン 秘め公爵といばらの輪舞

読んだTLのすべての感想は書くスタンスではないのですが、数少ない男装ジャンルについては読んだらすべて感想を書いてもよいのではないか…という気がしてきました。なぜなら男装少女が尋常ならざるテンションで好きなためです。

という訳で、エロなしピュアラブなコバルト文庫の男装女子をテーマにした作品です。

中世ヨーロッパっぽい世界観で、公爵家を継ぐために男装して生きているヒロインが時期王の候補になるのですが、突如現れたもう一人の王候補のヒーロー。どちらが王座を継ぐのか…という周囲の思惑をよそに二人が友達になっていくほっこりラブストーリー。

男装女子ラブは積極的に読むようにしていますが、こちらのヒロインは胸にグッとくるいいキャラでした。普段は男装していてかっこよくありつつ、こっそり女の子の服を着て親友の侍女と遊ぶのも好き。かわいすぎて気絶。

ヒーローは黒髪かつ朴念仁な感じにイラストでは描かれていて、早々にヒロインが女子であることに気がつきつつモジモジしていてベリーキュート…。

エロありTLではヒーローは手が早くないと話が盛り上がらない都合で頭おかしいキャラになりがちですが、エロがない作品だとこういう真面目なキャラに描けるんだなぁ…としみじみしました。

ヒーローをかっこよく描きつつも、ヒロインの快活さも心地よく最高の少女小説でした。3作品で完結しているようなのですが、早くに読まなかったことが悔やまれる…。リアルタイムで読んでいたら、死ぬほど推して出版社に100通くらいファンレター書いたと思います。

2作目の準ヒロインナターシャも最高だった。クール系美少女で軍服着てるんですよ。気絶するくらい萌え…。コバルト文庫なんて小学生で卒業したよ〜なんて思ってたけどごめん…。最高でしたわ…。

男装萌え度としては100点満点中の200,000点くらいでした。こちらの作家さんの今後の活躍も超楽しみにしています。男装でなくてもこの作家さんの女性の描き方ならば期待できる!!!