TL小説ソムリエよむよむ感想日記

TL小説読みすぎな人生を綴るよ。オススメTL感想、レビュー、分析などなど。

致死量の恋情

致死量の恋情 (ソーニャ文庫)

致死量の恋情 (ソーニャ文庫)

領主の娘だが、軍人である父に勇ましく育てられたヒロイン。因習の村で、獣のような待遇で飼われていた不思議な瞳の少年を救う。魂の半身としてお互いを強く信頼しあうヒーローとヒロインだが、ヒロインが病に倒れたことをきっかけにヒーローが姿を消してしまう…。

謎に満ちた美しい少年への虐待を軸に、ヒロインが心からヒーローを求め、共にありたいと願うさまが情熱的に描かれます。

ヒロインは武人の教育を受けているため、ヒーローに仇なす人間をボコボコにするシーンが熱い。ちょっと女騎士やってます、とかのレベルではない武人描写。跡継ぎとして教育を受けているため、頭がまわって豪胆な男らしさが目立ちます。このエントリのカテゴリに「強気な主人公」を入れましたが、強気っていうか強い(身体的に)。

『まずは己より公明正大であれ。善には徳量寛大たれ。悪には冷酷無情たれ。そして常に泰然自若であれ』
(致死量の恋情より)

という教育をヒロインは受けているのですが、ここだけ読むと恋愛小説とは思えない武人感です。
そんなヒロインを育てる父と、国王の4人が主な登場人物なのですが「このサブキャラクターたちは物語に絶対必要」と納得感があります。

TL小説は1冊で物語を描く都合上、登場人物の数はわりと悩ましい問題であろうと推測しますがヒーローとヒロインが成長するにあたって重要な役割を果たす2人を巧みに描いています。情熱的だけれど突っ走りがちなヒーローとヒロインを見守る、人間味がある大人たちとして描かれている。

特にヒロイン父はいい人すぎて終盤に泣かせてきます。大人向けの小説ならではの、泣かせかただよなぁ…。

ヒーローがヒロインを愛しているのはもちろんお約束ですが、ヒロインが心からヒーローを愛している!という心理描写に強い納得感があって、TL小説はなしくずし的に根負けしてヒーローを受け入れるケースが多いので珍しいなと感じました。好みはあると思いますが、熱い女は嫌いじゃない。

春日部こみと先生は「この人が欲しい。この人がいるから生きていける」という気持ちの描写に魂を切り裂くような熱量と説得力が巧みで、また次の作品も楽しみです…!

気がつけばオパール文庫で春日部こみと先生の新作が出ていたので、読もう!いまから!!!(財布を握りしめてダッシュ)