TL小説ソムリエよむよむ感想日記

TL小説読みすぎな人生を綴るよ。オススメTL感想、レビュー、分析などなど。

年の差恋愛! おじさまに迫ったらオトナの本気を見せられました

TL小説で激情を描かせたら四天王に入ると個人的に思っている、春日部こみと先生の現代作品『年の差恋愛! おじさまに迫ったらオトナの本気を見せられました』を読了。

年の差恋愛! おじさまに迫ったらオトナの本気を見せられました (オパール文庫)

年の差恋愛! おじさまに迫ったらオトナの本気を見せられました (オパール文庫)

なんちゅうもんを読ませてくれるんや…と、美味しんぼでいう京極万太郎の気持ちです。きょう0時kindle配信の本を、夢中で即読み終わりましたね。

親を亡くして祖父母のもとで育てられたヒロインと、同じく祖父母のもとに身を寄せていた従兄のヒーロー。18歳年上のヒーローは騎士ならぬ棋士で、祖父母亡き後もヒロインを保護者としてベタベタに甘やかしている。ヒーローへの恋心を自覚するヒロインは…。

という話。私の貧困な語句であらすじで書いても、良さが1/1000も伝わらないので、下記のテーマにマッチする方は読んでください。

  • インテリジェンス男子
  • 家族の愛情と思い出
  • 自立
  • 才能のない者の葛藤

自立はさまざまなTL小説で描かれますが、この生き様には自立なくては、というヒロインの激情とロジックは胸がすくような思いというか、なんていい女なんだ…とヒーローに代わって泣きそうになりました。

学生のヒロインということで、甘メンタルかと思いきや「全力を尽くして生きようとしている」という姿勢が伝わってくる良ヒロイン。

また、ヒーロー側も傷や葛藤を抱えつつも、勝負の世界で生きている浮世離れ感をうまく描いていて「とにかくすごい王子様」のようなキャラクター描写とは一線を画しています。

セクシャルな萌えというか、メンタルの萌えの作品なので、理屈抜きでえっちなのを読みたい!という方には不向きで好みを選ぶのは承知ですが、危うい激情と愛の物語を読みたい方にはオススメの作品です。

テーマの一つである勝負と才能の話は、ものを作ることが好きでありながら、才能を持たない私には刺さる内容でした…。本当に、持っていない人はどうしようもない世界がある。持っている人は、正気とは思えない世界が見えていて。

「俺は、自分以外の全ての人間の心を、侮っていた。」
年の差恋愛! おじさまに迫ったらオトナの本気を見せられました(春日部 こみと著 オパール文庫)より

というヒーローの告白は胸をかきむしられるような思いがありました…。まさかTL小説でこんな思いをさせられる日が来るとは。

庭園の花が朽ちる様と、登場人物の葛藤を絡めた描写も見事。知識量ちゃんとしてる作家さんしゅごい。

ギフトの話

連載を中断している作品なのですが『神様の横顔』という漫画も、才能にまつわる渇望の物語で私は好きでした。男装女子が主人公なので読み始めたが、思いのほか才能に対する絶望を感じる物語でヒリヒリさせられた。

神様の横顔(1) (モーニング KC)

神様の横顔(1) (モーニング KC)

古今東西、天才にしかわからない世界と、天才にはわからない感情があるものですな…。