TL小説ソムリエよむよむ感想日記

TL小説読みすぎな人生を綴るよ。オススメTL感想、レビュー、分析などなど。

愛を乞う異形

正月のためのおせちについて考えるあまり意識を失っていましたが、山野辺りり先生の新刊を読み、感想を書き留めるために地獄の底から舞い戻ってきました。

感想を書くペースが遅くて、このままではソーニャ文庫ファンサイトになってしまう。くやビク。

あらすじ

愛を乞う異形 (ソーニャ文庫)

愛を乞う異形 (ソーニャ文庫)

幼い頃に事故に遭ってから、周囲の人間が化け物に見えるようになってしまったヒロイン。

あらゆる人間が正しく認識できないことを恐れ、極力他者と顔を合わせない暮らしを送っていたヒロイン。折り合いの悪い父親に政略結婚を強いられ、恐ろしい悪魔の姿に見えるヒーローのもとに嫁ぐが…。

感想

挿絵はどのくらい獣なのか問題

「世界を正しく認識することができない」設定だと、挿絵が『沙耶の唄』的に混沌とした状態であることを一部の読者は期待されると思うのですが、挿絵は基本イケメンと美少女です。

沙耶の唄』設定はクレイジーな価値観の中に愛を見出す剛の者向けの作品であり、選ばれしものしか購入しない可能性を考えると正気を保ったジャッジで人間を描いたと思います。

もしもソーニャ文庫がDMMとかで挿絵ノベル的な感じで配信された際には、タップすると切り替わる感じのカオスな挿絵がつくといいですね…! その時はヒーローが海産物系に見える設定でも可能性を感じます。

お話について

ヒロインを通して見る世界と混乱で読者も不安になれる系の話でした。がんばれー!と、一人で読みながら応援上映的な…。

山野辺りり先生の描く物語は、精神的な強い混乱の中で足掻く人物たちの心の揺れ動きや成長がおもしろいなと感じます。

邪悪なトリックが秘められたお話ではないですが、美醜を超えて愛を見出す話をうまくまとめる巧さはさすがな感じ。もうちょっと細かなお話をボリューム多めで読んでみたくなります。

ただ、終わらない物語は好きではないので、もうちょっと読んでみたかったなと思う物語こそがいい物語だと個人的には思います。その後、ヒロインが己の視野を生かした前衛芸術で大成する、という物語の先の未来を勝手に想像しております。

雑記

自分の話で恐縮ですが、他人の顔がさほど識別できない性質なので『愛を乞う異形』のヒロインにはシンパシーを感じました。興味がないために識別できないのか、識別できないために興味を持てないのか謎ですが、世のイケメンや美女と呼ばれる人々の認識はまったくつかないのです。

ちょっと前にしばらく入院した際も、看護師の顔がまったく覚えられず、親しげに声をかけられるも個人を識別できていないので「知ってる知ってる〜!」みたいな顔で挨拶するの苦労しました。

看護師の動きや喋り方には関心があるのでしばらく見ていると、この立ち回り方と励まし方はあの人かなーみたいな認識で覚えていきますが。看護師さんによって、患者への配慮するポイントに差があってそういう部分で他人を識別していきます。

世界の見え方は、事故に遭わずとも人によってまったく異なるものですな。興味深いことです。